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歴史研究家の亀井千歩子さんの『小松菜の里―東京の野菜風土記』(彩流社 刊)を読んだ。

 

 

江戸川区西小松川町の西小松川諏訪神社の境内に、1985年、「小松菜ゆかりの里」の碑、松尾芭蕉の「秋にそうて行かばや末は小松川」の句碑が建てられるを記念して出版された本である。2009年には新装版が発売になった。

 

この一冊で、「塩の道」により江戸時代には既に発展していた東京東側と千葉の歴史、小松菜の栄養価と植物分類と社会的な歴史がわかる。

 

著者の亀井千歩子さんは西小松川諏訪神社の21代目の神主さんの娘さんで、「塩の道」の研究家でもある。

 

この二十年以上、私が食す野菜と言ったら小松菜であり、ほぼ毎日300-400gを食べているわりに、栄養価と徳川吉宗が小松菜と命名した話し以外、小松菜のことは知らなくて(小松川の小松菜畑は見に行ったことはある)、吉宗直々に、地場の青菜を振る舞った西小松川諏訪神社の子孫である、亀井さんの『小松菜の里』を読みたいと思った。

 

本書によると、小松川は、日本橋から二里(一里=約3.927km)の距離にある湿地帯で、徳川家の御猟場だったそうだ。少し前に読んだ徳川家の子孫が著書で言及していたが、猟は良い運動になったそうだ。動物性タンパク源の摂取もできたことだろう。

 

そこで土地の神社で振る舞われた青菜をたいそう気に入り、ここは小松川だから小松菜と呼ぶように言われたらしい。

 

芭蕉の「秋にそうて行かばや末は小松川」の俳句だが、人の行く末を川の流れに託したという。

 

小松川は、行徳川である徳川家康が江戸入府後に、下総の行徳の塩を江戸へ運ぶために小名木四郎兵衛に命じて作らせた小名木川、それから船堀川の支流にあり、芭蕉庵も門弟も小名木川筋に住んでいたので、小名木川を船で行き来していた。

 

そんな土地が小松菜の故郷であった。

 

本の中で一番おもしろいなと思った点が、著者が、全国各地の小松菜のようなアブラナ科の漬け菜を紹介していたこと。

 

Google検索をしたらこういう資料がパッと出てくると思うでしょう。でもないのだ。Scholarででも「漬け菜 全国」では出てこない。書物の醍醐味とはこういうことでもある。

 

私も食べたことのあるものがいくつかあった。どれもヒユ科のほうれん草のように食べた後に歯の裏側にざらつきがつかなく、小松菜のような「菜っ葉」でおいしい。

 

本が出版された時点でも、明治時代に中国から入ってきた白菜やヨーロッパ原産のキャベツに押され気味とあるし、現在ならさらに外国産の野菜や実野菜も増え、消費者は安くてある程度長持ちするものを購入することになる。

 

たくさんの品があるからこそ、私は目移りせずに(アレコレ食べたい買いたいという時代は終わった)ただの菜っ葉「小松菜」を選ぶ。ミニマリストだし、野菜を食べる理由は、消費というかたちで提供者を喜ばせることではなく、体内に繊維と栄養をとり入れることなのだから、普通の菜っ葉で栄養価が高い郷土の菜っ葉が良いのだ。

 

著者は「菜についての諺といい習わし」にもふれている。

 

その中で、お金持ちになれそう、それから、健康維持によさそうなものをあげてみるとする。

 

菜根を咬み得て百事を倣すべし

中国の朱子の小学の言葉で、贅沢を捨て、粗末な物を食べてこそ、何事もなるという意味。

江戸末期に生まれ、明治大正昭和の時代に林学博士としてビジネスマンとして投資家として活躍した本多静六氏などは、まさに菜っ葉の塩漬けで大成功したタイプ。

炮烙(ほうろく)菜種に小松菜入れて味噌のたまりで医者いらず

「東都読売」よりとあるので、近現代のことばなのか。江戸川区鹿骨地域のいわれたとのことで、今のフライパンにあたる炮烙(ほうろく)に菜種油を入れて小松菜を炒め味噌を作った時にできるたまりしょう油で味をつけ、これを毎日食べていれば健康で医者はいらないということらしい。

私はたまりしょう油は使わないが、確かに小松菜の油炒めにしょう油やお味噌は美味しい。バターを加えるともっと美味しい。

 

間も無く季節恒例で、私が暮らす地域では農家が100円で400-450gの小松菜(小さめのサイズ)を販売するようになるので楽しみだ。

 

 

 

 

ブロガー、選書家、音楽配信、書籍企画、自由業在宅リモート職(Webマーケティング、翻訳) / Plenitude Interactions LLC / 放送大学科目履修生 / 潰瘍性大腸炎 UC IBD 発症歴31年、ナルコレプシー、強膜炎、反応性低血糖症 / 水4L海塩25gとバターとリノール酸油と青菜を大量摂取、9kmウォーキングと軽い筋トレ、睡眠7.5時間をとることが健康維持のための日課 / 陸生哺乳類肉と米と芋と木の実と砂糖とアルコール摂取は以前にやめた / HipHop / アフリカンアメリカン文学古書収集家でその手の本をたくさん所有する最小限主義者 / 元音楽レーベル&出版社勤め / アイコンは宇野亜喜良氏「妖艶な女帝」 / お気軽にご連絡ください hello@plen-act.com (10/30/2018 最終更新)

 
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