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町田市民文学館ことばらんどで開催中の「本をめぐる美術、美術になった本-近代日本の装幀美本からブック・アートまで:1905-2004」を鑑賞してきた。

 

 

電子書籍も含めて本好きな人間、元 版元(出版社のことで、業界内の人だけが使う言葉)の人間としては、これは見なくちゃと、やっと行ってきた。ちょうど、『書物と製本術――ルリユール / 綴じの文化史』(野村悠里 著 みずす書房 刊)を読み終えたところでもあった。

 

市営なので豪勢な展示ではないけど、美術品とも言える美しい装幀の本が展示してあった。

 

ちょっとググッてみていただければ、業界とは購買だけの関係の方でも、出版点数が戦後だけで考えたとしても異様に増えているのはわかるだろう。かつては本は特別なものだったはずだ。

 

だからこその装幀美術。

 

著者、出版社、関わる制作陣、みんなが特別な人だったからこその一冊の本。

 

「出しゃ売れる」(私が二社目で働いていた会社の、出版社経営歴50年以上のオーナーの言葉)、「並べりゃ売れる」(もう引退された年配の書店員の方々の言葉)、昔話が笑って聞ける時代も過ぎ去り、今の紙の本の競合は、タブレットとなってしまった。

 

多くの人が「紙の書籍vs電子書籍」というけど、私は「紙の書籍vs読みやすいサイズのタブレット」と思っているのだけど。

 

装幀は不思議なもので、美しいから、かっこいいから、凝っているから、売れるわけではない。よって、私が今回見た昔の本が売れたか売れなかったのかは不明。

 

売れるというのは、私の経験値だと三刷まで行くものが「売れる」ということだと思う。まあ、今の時代三刷まで行く本はなかなかないだろう。

 

美しい本を作るのも出版社の仕事であるけど、やっぱり著者のため、著者印税のことを考えたら、売れるためにそのぶんは広告費に回した方がいい。

 

なぜなら、増刷がかかり続ける本は、決して美しいとは限らないし、カヴァーや帯のデザインが超がつくほどダサダサでも評価が高い中身の本は地道に刷数をあげていく。中古市場で購入できる本でも新本を買っていきたい人は存在する。

 

やっぱり中身。それから読みやすい組版。

 

もちろんジャンルにもよるけど。

 

出版社時代は総じて楽しかったが、色々苦い思い出も頭に浮かんできてしまったから、このあたりで投稿を終わりにするけど、今回の展覧会で整理できたことが一つある。

 

それは、装幀が決して美しくなくても売れ続ける本は中身と組版で決まるということ。

 

電子書籍を制作する上でも役立てられることかもしれない。

 

この展示のメッセージとは全く正反対のことを感じた私なのだった。

 

ブロガー、選書家、音楽配信、書籍企画、自由業在宅リモート職(Webマーケティング、翻訳) / Plenitude Interactions LLC / 放送大学科目履修生 / 潰瘍性大腸炎 UC IBD 発症歴31年、ナルコレプシー、強膜炎、反応性低血糖症 / 水4L海塩25gとバターとリノール酸油と青菜を大量摂取、9kmウォーキングと軽い筋トレ、睡眠7.5時間をとることが健康維持のための日課 / 陸生哺乳類肉と米と芋と木の実と砂糖とアルコール摂取は以前にやめた / HipHop / アフリカンアメリカン文学古書収集家でその手の本をたくさん所有する最小限主義者 / 元音楽レーベル&出版社勤め / アイコンは宇野亜喜良氏「妖艶な女帝」 / お気軽にご連絡ください hello@plen-act.com (10/30/2018 最終更新)

 
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2017年5月23日から2018年6月までに完了予定で行っていたメニューバーの大工事が2018年5月23日をもって終了しました。これから2018年の年末にかけては、音楽 / 映画 / 写真 / 美術 のメニューバーの工事が始まります。よろしくお願いいたします。