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つつじの美しい季節だ。

 

この時期になると、読みたくなり、観たくなる作品がある。それは、泉鏡花の『外科室』、そして、原作を忠実に映画化した坂東玉三郎監督の映画である。

 

azalea - つつじ  Flickr : Takashi Kitajimaさん

 

泉鏡花は、言わずと知れた大正昭和に活躍した作家である。文壇にはとけ込まず、孤高を愛し、美と浪漫の言葉の魔術師と言われた。「外科室」は彼が23歳の時の短編である。

 

位の違う貴船伯爵夫人と少壮の外科医高峰の出会いは偶然だった。すれ違い様に恋に落ちる二人。それ以上もそれ以下もない。後、貴船伯爵夫人は手術が必要な病にかかる。うわごとで秘めた思いを吐露することを恐れ、手術の麻酔を拒む。執刀医は、なんと高峰だった…。

 

撮影当時41歳の玉三郎初の映画監督作品であったが、映画は原作そのものの世界だった。50分で1000円という、贅沢なようなリーズナブルなような鑑賞料。学生だった私はあまりの素晴らしさに二回も映画館に足を運んでしまった。主演の吉永小百合と加藤雅也、そして、中井貴一、その他の俳優陣。全員が適役だったし、ラフマニノフを奏でるヨーヨー・マの音楽にも、魅了された。

 

耽美な悲劇に再びふれたい。

 

 

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

 

 

 
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