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クラシックやオペラ、民族音楽以外の音楽を聴きたかったら、『シティ・ソウル ディスクガイド シティ・ポップと楽しむ、ソウル、AOR & ブルー・アイド・ソウル』を読むべしです。

 

 

1970年代以降のずっと聴き継がれている、これから伝承されるだろうという「シティ・ソウル」のアルバムが掲載されています。

 

洋楽を聴いたことがないから抵抗あるという方もご安心を。

 

各年代ごとに「シティ・ポップ」な日本人アーティストやグループの名盤が紹介されています。

 

洋楽は「シティ・ソウル」、邦楽は「シティ・ポップ」というわけです。

 

著者の小渕晃氏による「シティ・ソウル」の定義とは、「1、制作者の深い音楽知識、リスニング体験をもとに、ソウルとジャズ、ロックなどのクロスオーヴァーにより生み出される洗練されたポップ・ミュージック。2、ヒップホップが世界の音楽シーンの中心にあるいまの観点でセレクトした、ヒップホップ世代にも受け入れられる、ある種のグルーヴを備えた作品」とのこと。

 

個人的なことを書くと、私は大衆音楽には邦楽洋楽ともに絶対に「グルーヴ」がなければアウトだと考えているタチです。

 

この本に載っている「シティ・ポップ」と「シティ・ソウル」は全部OKです。

 

その背景には子どもの頃からの自分の人生が関わっています。

 

幼稚園児でクラシックピアノを習う→同時期にソウルミュージックという言葉やアーティストの名前は知らないけど、ドラマ「ルーツ」を見てクインシー・ジョーンズの何かが湧き上がる感覚のする音楽の世界を知る→その頃か小学校低学年でNHKで不定期で放映されていた「日本人女性調律師がアメリカを旅する」というドキュメンタリーでラグタイムのピアノ曲を聴き、自分の習っているピアノ演奏とは明らかに異なる弾き方があることを知る→小学校高学年で角川映画の洗礼を受け、その中で原田知世のファンになり、知世様を取り巻く大人の「シティ・ポップ」界のミュージシャン達を知りレンタルレコード屋通いを始める→中学高校と普通に洋楽を聴くがレコードプレイヤーを二台並べてウダウダ、時に叫んでるラップというものに惹かれる、そのサウンドは子どもの頃に聴いたクインシー・ジョーンズやラグタイムに通ずるものがある→アフリカンアメリカンカルチャーにのめり込んでいく、という経緯があります。

 

「レコードを自ら聴く」という行為がまさに「シティ・ポップ」からなので、この本の内容は非常にフィットします。

 

また、デジタル社会になる以前の資本主義社会で生まれた紙のメディアと音楽のアルバムの相性はよいですし、日本の音楽媒体において権威あるbmr誌の元編集長による情報は信頼できます。

 

権威嫌いの私が、唯一自分の権威と言い切れるのは紙の時代のbmr誌のみなのですよ。

 

当ブログをよく読んでくださっている方はまた言っている…と思われるかもしれませんが、紙のメディアの中でも、書籍は多くの場合、広告がつかないことが多いので神聖な媒体であり、とても信用度が高いのです。

 

デジタル配信とパッケージされたアナログレコードの世界と両極端になった今、何を聴いたらわからないという方、特にCDバブルの時代が中学生以下だった方は、推定するに現在37-38歳以下くらいの音楽をやっています、でもアマチュアです、という方に本書はとてもおすすめ。

 

というのも、あくまで個人的な、世間のデータには基づかない見解によると、この世代以下で、音楽をやっているアマチュアのバンドマン、DJをやっていますというアマチュアの人達は「制作者の深い音楽知識、リスニング体験」によって作られた邦楽洋楽ともに音楽の聴き込みが全然足りない、ソウルミュージックは市場が小さいからまだわかるが、黒人音楽をもとに作られたロックミュージックの基本さえも聴いとらん、という印象がものすごくありまして、それは、経済の動き、レコード会社の事情、CDバブルがはじけた、徐々にデジタル配信へ、アーティストが自力でプロモーション(MySpace、そしてFacebookへ)、そうこうしているうちに、良質な音楽、つまり「制作者の深い音楽知識、リスニング体験」によって作られたものが、がいつの時代よりも日の目を見ず、それまでその良質音楽を聴き続けていた人間たち(主におじさんとおばさん音楽ハンター)とよっぽどな若い人だけが支持し、新たなリスナーを生み出すこともなく、市場を小さくしていったことと大きく関係している結果だと捉えています。

 

聴き方がわからない、音楽の探し方がわからない、それは音楽誌の相次ぐ休刊とセットになっているでしょう。

 

若くプロではない演者たちが音楽リスナーとしてのインプットがないとは、技術を磨けど耳を養っていないうえでアウトプットしている、ということを意味していますが、彼らがライヴを頻繁に行えているのは、ライヴハウスの事前審査(演奏力が試される)とバンドマンたちがチケットをどれだけさばけるか(ライヴに人を呼ぶ営業力があるかそれをサポートするお金持ちが周辺にいるかが試される)、もしくは晴れてメジャーデビューできた人間を投資物とする音楽原盤保有者である資本家がプロモーションの場としてライヴを企画していた、そんな時代から、ちょっとびっくりするようなことを書いてしまいますが、実力がなくてもどれだけ客に酒を飲ませられるか、どれだけ大酒飲みのお客を連れてこられるかが勝負の飲食店でのライヴが気軽にできるようになったことが理由にあげられます。

 

大量のお酒が入った観客は、同じく酔っぱらったバンドマンたちにパフォーマンスやミュージシャンとしてのアティテュードを指摘することもできないから、演者の質はどんどん下がる、というのが個人的な分析です。当然観客の質も下がります。

 

それでも演者はその日の収入を得られるし物販ができますから、そういう方法で音楽を演奏できれば良いという人達がいるのも大勢知っています。でもその人のライヴを観るのもそこまでです。私の時間とお金は酔っ払いの演奏のために用意されたものではありません。

 

かつてちょっとよさげなアマチュアバンドのライヴには、バンドまたはメンバーをスカウトしたいレコード会社の人達と、バンド側からしたら「誰あなた?」的な存在のおじさんおばさん(ミュージシャン達が後で知ることになる音楽評論家とか邦楽を扱う音楽雑誌の編集者など)が、ライヴ終了後の打ち上げで(ここでやっとミュージシャンもお酒が飲めます)ああだこうだと、演奏の仕方からMCでの発言内容から服装から何から何までを指摘し、喧嘩も起きるということもよくあった光景ですが、今の時代には老婆心からアドヴァイスをしてくれて、喧嘩をしても再びライヴに足を運んでくれる、人生のキャリアのある人間は必要がないのです。

 

自分で録音して配信、CDもぱっと焼けます。売れる場があればそれでよし。

 

ライヴハウスもクラブもお酒ありきで成り立つご商売のお店がほとんどですが、お店のオーディションを通過し、それらを超えてメジャーデビューをした人間たちが、お金をいただいているお客様の前で、お酒を飲みながら酔っぱらって真っ赤になったタコボーズのような顔で演奏するなど到底考えられないことが現在の日本のバンドの音楽シーンでは起きているのは、デジタルの進化の産物、そして「まともな音楽を聴かない・聴くきっかけがない」結果です。

 

十数年前からじわじわと広がっている和モノブーム、これは元々は中古レコードを掘るキャリアのあるプロのDJ達が広げていったので新譜や再発とは流れが変わりますけど、よくもわるくも敷居の低くなった音楽シーンにちょと違和感を感じる感度の高い良い若者たちが支持し始めたことも大きく、インターネットで探すためには「キーワード」を知らなければならない、そのキーワードをたたき込むために足を使ってレコード屋へ行かなければならない、といったことは、お気軽な音楽シーンへの反動である、と独断と偏見で感じています。

 

この『シティ・ソウル ディスクガイド シティ・ポップと楽しむ、ソウル、AOR & ブルー・アイド・ソウル』は、人々、特に若い方達にはよい音楽に出合うきっかけになるはずです。

 

これまた独自の考え方ですが、デジタル配信で良質音楽を選べる人は、聴くこととその資料代に最低でも数百万、それを聴く時間を確保した人だけにできるんじゃないかと考えているので、耳を肥えさせるためにも、この本は資料としてマストです。

 

私はといえば、大枚をはたく時代も通り超し、今、音楽情報を集めるのであれば、好きなアーティスト直の情報媒体(ホームページやSNS)、時々、BlavityEssenceThe SourceVibeなどのマガジン、日本の雑誌「ブルース&ソウル・レコーズ」(通称bsr)や「レコード・コレクターズ」(通称レココレ)に目を通す程度です。

 

また、資料になる音源(実は私は音楽配信レーベルを一人で細々とやっている人間です)、よほど好きなアーティスト、でない限り、目に見える製品、見えない製品ともに購入しません(CDとレコードと書籍に囲まれすぎてノイローゼになりそうになった経緯があってミニマリストになりましたので)。

 

しかしながら、今回購入した紙の書籍のディスクガイドにより、また目に見える製品、しかもヴァイナルで、を購入したい気持ちになっています。

 

極力図書館利用、デジタル本を購入し、処分しても増えていく書籍、これが自分の部屋を占めているので、音楽パッケージ製品をどうおくか、またノイローゼ気味にならないようにするかは課題ではありますが。

 

本書には、自分が所有するアルバム、レンタルレコード屋に通い始めた小学校高学年時代に聴いていた思い出の邦楽アーティストのアルバムのジャケ写、日本国では目立たないアーティストのアルバム、自分の抱えているアーティストが参加するアルバムも何枚か、などなどが掲載されて嬉しく思いました。

 

 

 

ブロガー、選書家、音楽配信、書籍企画、自由業在宅リモート職(Webマーケティング、翻訳) / Plenitude Interactions LLC / 放送大学科目履修生 / 潰瘍性大腸炎 UC IBD 発症歴31年、ナルコレプシー、強膜炎、反応性低血糖症 / 水4L海塩25gとバターとリノール酸油と青菜を大量摂取、一万歩以上のウォーキングと軽い筋トレ、睡眠7.5時間をとることが健康維持のための毎日の目標 / 陸の哺乳類肉と米と芋と砂糖とアルコール摂取は以前にやめた / HipHop / アフリカンアメリカン文学古書収集家でその手の本をたくさん所有する最小限主義者 / 元音楽レーベル&出版社勤め / アイコンは宇野亜喜良氏「妖艶な女帝」 / お気軽にご連絡ください hello@plen-act.com (10/15/2018 最終更新)

 
ブログに関するお知らせ

2017年5月23日から2018年6月までに完了予定で行っていたメニューバーの大工事が2018年5月23日をもって終了しました。これから2018年の年末にかけては、音楽 / 映画 / 写真 / 美術 のメニューバーの工事が始まります。よろしくお願いいたします。