今年の夏は体力を温存するため、日課である5キロの歩行のペースを落としている。多忙も重なっている。
ウォーキングは、生活の中に組み込んでいる。その昔、ミレイユ・ジュリアーノ著『フランス人はなぜ好きなものを食べて太らないのか』(日経BP/日本経済新聞出版)を読んだことも大きい。フランス人はこまめに歩くという。家で仕事をする人たちからは、「どうやったらそんなに歩けるのか」と聞かれることがある。
私の場合は、単に、小松菜を安く手に入れるために歩くのである。町を歩き回って品定めをしていれば、歩数は稼げる。
食材を買う店は、八百屋2店を含めて11軒ある。もちろん、一日にすべてを回るわけではない。魚介、バター、ヨーグルト、木の実など、買うものによって店を使い分ける。野菜は、その日の値段と品物を見る。鳥肉の入手方法については、いつか書きたい。
頭の中には、食材と店を結ぶ地図がある。
その中には、世間で高級と呼ばれるスーパーも入っている。高いからと素通りする人もいるが、棚を見ないのはもったいない。
私は海塩を買うとき、平釜で作られたものを選ぶ。この条件で探すと、ある高級スーパーで扱っている商品が選択肢に入る。パルメザンチーズもそうだ。塩だけで加工した鮭の瓶詰め、魚のアラ、ぶどう油、高タンパクのパスタも、ここが町で一番お得だ。私が、パスタを選ぶ基準は、タンパク質の量である。
刺身は、もう一つの高級スーパーが、安いことがある。魚屋発祥で有名なスーパーよりもである。それから、私の基準に合う卵が安く売られている。夕方になると、農家から届いた野菜に値引きの札がつく。今年の夏はあまり見かけないが、通常は、ここで小松菜を買う。八百屋よりも、全国最大規模系列のスーパーより安く、味が濃い。
東京で生まれ育ってきたので、この二つの高級スーパーの変遷も見てきた。一つは、都市部から離れた学園町で生まれた商店である。私が学生の頃は、まだその名残があった。もう一つは、庶民の憧れかのように打ち出された「文化生活」の象徴、団地などの集合住宅の一角に店を構えていた。
店の看板と、棚の値段は別物なのである。
