私は偏食である。ただし、この偏食も何十年もかけて作ってきたものだ。

毎日水を4リットル以上飲み、海塩をたっぷりとる。アブラナ科の葉野菜を中心に野菜を300g以上、タンパク質を50g以上とり、陸生哺乳類の肉は、外食でエキスとして口にする以外は食べない。細かいルールはほかにもある。 

試行錯誤しながら調理するのも楽しく、それが人生になっているところはあるのだが、この夏は多忙で、栄養をとることだけを考えて過ごしている。

行き着いたのは、一日一食と生乳ヨーグルトだ。夜の一食だけはしっかり食べ、それ以外の時間は生乳ヨーグルトで過ごす。

15歳から罹患している潰瘍性大腸炎(UC)とは別に、合わないものを食べると腹痛が起きることがあるが、生乳ヨーグルトは大丈夫だ。バターとチーズの次に馴染んでいる乳製品であり、どこにでも売っている。それに、歯磨きも歯ブラシだけで済む。 

それから、砂糖を摂らない私にとっては、甘みを感じられる食べ物でもある。400gパックを一日に二つ平らげる日もある。これだけで、毎日の生活は軽やかになった。火を使う調理は夜の一回で済む。生乳ヨーグルトは、出先でも簡単に手に入り、ちょっとしたスペースさえあれば食べられる。

調理の手間を省く工夫は他にもある。鶏ひき肉や貝はすぐに火が通る。それから、刺身もいい。小松菜は、細かく切って、あらかじめ塩をふっておいて、食べる直前に洗うだけ。ほかの野菜は、ぬか床に放り込んでおけば、それだけで一品にもなる。油は、たっぷりかける。そして、チーズを添える。ピータンのこともある。

時間が生まれた。

おやつには、家にいる限りは、バターを食べる。これは30年以上前からの習慣だ。今は、一日90gほどをとる。

この忙しい時期を抜けたら、また大好きなパスタを茹でる日々に戻るだろう。だが、究極まで削ぎ落としたこの食生活の中で、気づいたことがある。

人間は、必要な栄養さえ過不足なく満たされていれば、だいたいのことは満足できるようにできているのではないか。世の中の人がみな、十分な栄養と睡眠をとれていれば、世界はもっと平和に回る気がしてならない。

UCの私の場合は、タンパク質を70〜75gをとると力がみなぎる。食べる回数を減らし、中身をミニマムに絞り込んでも、この必要量だけは割らないようにしている。